メンタルヘルスの考え方「労働者の心の健康の保持増進のための指針」について解説
2020/12/07
「労働者の心の健康の保持増進のための指針」についてご存じでしょうか?
厚生労働省では、各事業場においてメンタルヘルスを推進していくうえでの必要な考え方を「労働者の心の健康の保持増進のための指針」にまとめ公表しています。
今回は、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」についてご紹介します。
労働者の心の健康の保持増進のための指針とは
「労働者の心の健康の保持増進のための指針」とは、労働安全衛生法第70条の2第1項の規定に基づき、同法第 69 条第1項の措置の適切かつ有効な実施を図るための指針として、事業場において事業者が講ずる労働者の心の健康の保持増進のための措置(メンタルヘルスケア)が適切かつ有効に実施されるよう、メンタルヘルスケアの原則的な実施方法について定めたものです。
事業者は、この指針に従い各事業場の実態に即した形で、ストレスチェック制度を含めたメンタルヘルスケアの実施に積極的に取り組むことが望ましいとされています。
メンタルヘルスケアの基本的な考え方
事業者は、ストレスチェック制度を含めた事業場におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進することを表明するとともに、衛生委員会等において十分調査審議を行い、メンタルヘルスケアに関する事業場の現状とその問題点を明確にし、その問題点を解決する具体的な実施事項等についての基本的な計画「心の健康づくり計画」を策定・実施するとともに、ストレスチェック制度の実施方法等に関する規程を策定し、制度の円滑な実施を図ることが求められます。
「心の健康づくり計画」の実施に当たっては、3つの予防を円滑に行われるようにする必要があります。
これらの取組においては、教育研修、情報提供及び4つのメンタルヘルスケアが継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要になります。
3つの予防とは
3つの予防とは、1次予防、2次予防、3次予防です。
1次予防とは、メンタルヘルス不調を未然に防止する予防です。
2次予防とは、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行う予防です。
3次予防とは、メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援等を行う予防です。
4つのメンタルヘルスケア
4つのメンタルヘルスケアとは、セルフケア、ラインケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケアです。
これらの4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要です。
セルフケアとは、メンタルヘルスケアは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減するあるいはこれに対処するケアです。
労働者自身がストレスに気づき、これに対処するための知識、方法を身につけ、それを実施することが重要です。
ラインケアとは、労働者と日常的に接する管理監督者が、心の健康に関して職場環境等の改善や労働者に対する相談対応を行うケアです。
管理監督者は、部下である労働者の状況を日常的に把握しており、また、個々の職場における具体的なストレス要因を把握し、その改善を図ることができる立場にあることから、職場環境等の把握と改善、労働者からの相談対応を行うことが必要です。
事業場内産業保健スタッフ等によるケアとは、事業場内の産業医等事業場内産業保健スタッフ等が、事業場の心の健康づくり対策の提言を行うとともに、その推進を担い、また、労働者及び管理監督者を支援するケアです。
事業場内産業保健スタッフ等は、セルフケア及びラインによるケアが効果的に実施されるよう、労働者及び管理監督者に対する支援を行うとともに、心の健康づくり計画に基づく具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案、メンタルヘルスに関する個人の健康情報の取扱い、事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口となること等、心の健康づくり計画の実施に当たり、中心的な役割を果たすことが重要です。
事業場外資源によるケアとは、事業場外の機関及び専門家を活用し、その支援を受けるケアです。
メンタルヘルスケアを行う上では、事業場が抱える問題や求めるサービスに応じて、メンタルヘルスケアに関し専門的な知識を有する各種の事業場外資源の支援を活用することが有効です。また、労働者が事業場内での相談等を望まないような場合にも、事業場外資源を活用することが効果的です。
今回は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の全体像、そして核となる3つの予防と4つのメンタルヘルスケアの重要性をご紹介しました。
各事業場において3つの予防と4つのメンタルヘルスケアを効果的に継続的に計画的に取り入れていきましょう。