労働者調査による仕事や職業生活における不安やストレス
2020/01/16
令和元年8月21日に厚生労働省より平成30年労働安全衛生調査が発表されています。
調査の内容には、事業所および労働者双方の側面からメンタルヘルス対策に関する事項、長時間労働者に対する取組に関する事項、受動喫煙防止対策に関する事項、産業保健に関する事項、安全衛生管理体制に関する事項、化学物質のばく露防止対策に関する事項、仕事や職業生活における不安やストレスに関する事項、受動喫煙に関する事項といった安全面、衛生面の結果が公表されています。
今回は、労働者調査による仕事や職業生活における不安やストレスについて焦点を当てご紹介します。
1.仕事や職業生活に関する強いストレス
現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は 58.0%という結果が出ています。
中でも強いストレスとなっていると感じるものは、仕事の質・量が 59.4%、対人関係が 31.3%、仕事の失敗、責任の発生等が 34.0%となっています。
・仕事の質・量:59.4%
・対人関係 31.3%
・仕事の失敗、責任の発生等が 34.0%
・役割・地位の変化等:22.9%
・会社の将来性:22.2%
2. 仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスについて相談できる人の有無等
現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについて、相談できる人がいる労働者割合は 92.8%となっています。
ストレスを相談できる人がいる労働者について、相談できる相手をみてみると、家族・友人が 79.6%、上司・同僚が 77.5%、産業医:8.8%、地域のかかりつけ医・主治医:5.6%、保健師又は看護師:3.8%でした。
・家族・友人: 79.6%
・上司・同僚:77.5%
・産業医:8.8%
・地域のかかりつけ医・主治医:5.6%
・保健師又は看護師:3.8%
3.ストレスを実際に相談した人の有無、実際に相談した相手別労働者割合
ストレスについて相談できる相手がいる労働者のうち、実際に相談した労働者の割合は 80.4%という結果が出ています。
実際に相談した労働者の相談相手は、家族・友人が 76.3%、上司・同僚が 69.7%、産業医:2.4%、地域のかかりつけ医・主治医:3.8%、保健師又は看護師:2.2%でした。
・家族・友人:76.3%
・上司・同僚:69.7%
・産業医:2.4%
・地域のかかりつけ医・主治医:3.8%
・保健師又は看護師:2.2%
ここまでデータを用いてご紹介してきましたが、まとめますと以下のことが分かります。
・仕事に対して強いストレスを抱えている労働者割合は約6割である。
・相談相手がいると答えた労働者割合は約9割である。
・相談相手がいると答えた労働者で実際に相談した割合は約8割である。
注目すべきポイントは、相談相手です。
企業では、産業医保健師、看護師を常駐又はは非常勤でいらっしゃるかと思います。
しかし、労働者は相談相手としては選択していない、正確には相談できないということが推測されます。
そもそも産業医や保健師や看護師に相談にいける方が多いかというとほとんどの方が敷居が高いと感じたり、会社からどう思われるかということが足止めしているのではないでしょうか。
そのことが、2と3の内容をまとめたものとして以下で分かるかと思います。
【相談相手がいる割合と実際に相談した割合】
・家族・友人: 79.6%→76.3%
・上司・同僚:77.5%→69.7%
・産業医:8.8%→2.4%
・地域のかかりつけ医・主治医:5.6%→3.8%
・保健師又は看護師:3.8%→2.2%
上記の内容から分かるように上司・同僚に相談する割合が多く、また大切なしゃきあ的支援になっています。
縦の関係、横の関係を強化させることがメンタルヘルスの推進と向上につながるのではないでしょうか。