フルハーネス型墜落制止用器具特別教育は2022年1月1日までに受講すれば大丈夫は間違い
2019年2月1日にフルハーネス型墜落制止用器具特別教育が施行され、約1年6か月が経過しました。
対象作業に従事される多くの方がご受講されている一方、対象作業に従事されているにもかかわらず受講されていない方もたくさんいらっしゃいます。
中には、「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育は2022年1月1日まで猶予期間があるからそれまでに受講すれば大丈夫」と間違った認識を持っている方も多くいらっしゃいます。
フルハーネス型墜落制止用器具を装着して作業に従事するには、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育を受講する必要があります。
受講せずに対象作業に従事すると法令違反となり、懲役6か月以下または罰金50万円いかの刑に処せられます。
今回は、「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育は2022年1月1日までに受講すれば大丈夫は間違い」について解説いたします。
Contents
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育とは
まず、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育とは何かについてから見ていきましょう。
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育とは、「高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務(ロープ高所作業に係る業務を除く。)に就く者」が受講する必要がある教育です。
対象作業に従事される場合は、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育を受講することが義務づけられています。
対象作業に従事される方は、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育を受講できません。
労働安全衛生規則第36条41
法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。
41 高さが2メートル以上の箇所であつて作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具(令第13条第3項第28号の墜落制止用器具をいう。第103条の5第1項において同じ。)のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務(前号に掲げる業務を除く。)」
厚生労働省発出の墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン
第8 特別教育
事業者は、高さ2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難 なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、あらかじめ、次の科目について、学科及び実技による特別の教育を所定の時間以上行うこと。
安全帯の規格から墜落制止用器具の規格へ
国の定めた構造・性能が規定された「安全帯の規格(旧規格)」は、新たに「墜落制止用器具の規格(新規格)」に改められました。
今後は新規格の墜落制止用器具を使用して作業をすることが義務づけられています。
しかし、旧規格は今からもう使えないものではなく、経過措置があり、2022年1月1日までの間は使用が認められています。
旧規格の胴ベルト型またはフルハーネス型は2022年1月1日まで使用可能ということです。
総括
以上、解説してきましたようにフルハーネス型墜落制止用器具特別教育は、対象作業に従事する際には受講して修了している必要があります。
一方、墜落制止用器具(胴ベルト型・フルハーネス型)については旧規格は2020年1月1日まで使用ができ、以降は新規格を使用しなければならないということです。
教育はすぐに受講、器具については経過措置があるということです。
2022年1月1日まで猶予措置があるのは、教育ではなく器具のことです。
この2つを間違って解釈されていらっしゃる方が多く見受けられますので、2つの事柄を整理して理解していきましょう。