働くひとのメンタルヘルスの状況を知る
日常生活や仕事生活においてもストレスはつきものです。
ストレスは誰にでもあるもので、適度のストレスはわたしたちのパフォーマンスを大いに高めてくれます。
しかし、過度のストレスを抱えた状態で継続しているとメンタルヘルス不調の問題が生じてきます。
さて、働くひとのメンタルヘルスの状況はどんな感じだと思いますか?
今回は働くひとのメンタルヘルスの状況をデータを用いて解説いたします。
働くひとの仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスの割合
働く人の仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレス(以下、ストレスという)の割合は2018年では58%(2017年は58.3%)でした。
上図は弊社でまとめた働くひとが抱えているストレスの割合ですが、1990年代以降はストレスの割合が約6割で推移していることが分かります。
性別でのストレスの割合は2012年を境に女性が男性を上回り、総じて女性の方がストレスの割合が高いことも分かります。
一つの理由として、女性活躍により女性の社会進出が促進し、働くひとが増えたこと、助成は男性と比較してライフイベント(妊娠、出産、子育てなど)が多いことも起因していることが挙げられます。
働くひとの仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスの内容
働くひとの仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレス(以下、ストレスという)の内容をみていきましょう。
働くひとの仕事や職業生活にストレスの内容をみると、仕事の質・量が 59.4%と最も多く、次いで仕事の失敗、責任の発生等が 34.0%、対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)が 31.3%となっています。
働くひとの仕事や職業生活にストレスは、以前からの仕事の質、仕事の量、職場の人間関係が不動のBEST3と言われており、ブラック企業においてはすべて該当する手内容でもあります。
仕事の量は長時間労働、仕事の質は緊張を強いられる仕事、職場の人間関係はハラスメントや上司・先輩との関係性と考えてみると理解できるでしょう。
精神障害の労災認定件数
厚生労働省こころの耳が公表している精神障害の認定件数をみると、2000年から現在に至るまで右肩上がりで労災請求件数および労災認定件数が増加傾向であることが分かります。
労災認定件数の出来事の類型は、事故や災害の体験、仕事の失敗・過度の責任の発生等、仕事の量・質、役割・地位の変化等、対人関係、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなどとなっています。
今回は「働くひとのメンタルヘルスの状況を知る」についてご紹介しました。
事業者はメンタルヘルスについて取り組むことは労働安全衛生法第1条の趣旨でもあります。
「この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。」
また、事業者は労働者に対して、労働契約法 第5条の安全配慮義務を負っています。
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」
これらは最低限のことであり、一人ひとりがいきいきと働くことができる職場づくりをおこなうことが本来の目的です。