「部下を育てることが難しい」には理由がある
マネージャーにとって部下育成は重要な仕事です。
部下育成において頭を悩ませていらっしゃる方、どうやって育てていけば良いか方法が分からない方などご相談を受けます。
今回は、「部下を育てることが難しい」には理由があるについてご紹介します。
バブル期の日本企業は部下育成がうまくいっていた
バブルの頃の日本は、人材育成の仕組みが構築されており、部下育成について悩まされるマネージャーも少ない時代でした。
「俺の昔の頃は、部下をよく指導したものだ」などと目上の方からこんな話を聞いたことはありませんか?
これだけ聞くと自慢話を聞かされているような感じもしますよね。
それはさておき、当時の職場にはいまのように部下育成を意図的におこなわなくても自然発生的に部下が育つ条件が整えられていたので、いまほど手塩にかけて部下が育てるということは必要なかったと言えます。
それは、「長期雇用」、「年功序列」、「タイトな人間関係」です。
長期雇用
新卒で入社した場合、定年まで保証される長期雇用です。
長期雇用ではすぐに結果がでなくても長い目で見てもらえます。
そのため、すぐに結果を求められることもいまほどではなく、失敗経験を積みながら育てていくという環境が整っていました。
しかし、現在のように短期的サイクルで常に結果を求められるような環境では、大きなミスをすると一発で見限られてしまうことも可能性としてあり、ストレスもたまるような中で仕事をしていかなければなりません。
年功序列
入社から定年までの道筋が一定であるため、部下からみると上司はロールモデル的な存在となります。
そのため、「いまが苦しくてもがんばっていけば上司みたいになれる」、「20年後には上司のように管理職に昇進して高級車を乗り回せる」などとキャリアのイメージもしやすい時代でした。
また、「俺の若い頃は、こういうときにはこうして乗り切ってきたんだ」などという上司の意見も参考になりました。
タイトな人間関係
当時は上司と部下が職場で長い時間を過ごすため、上司は部下の仕事ぶりを観察し適切に指導することができます。
部下は上司からの指導のもとに適切に業務を遂行することができます。
いまのように人員的にも余裕があり、上司は部下の指導に割く時間も精神的余裕もあり、指導しやすかったことも挙げられます。
現在の日本企業は効果的な部下育成が必要である
現在の日本企業において部下育成が難しくなっている理由は、バブル期の「長期雇用」、「年功序列」、「タイトな人間関係」の3種の神器が薄れてしまっていることが挙げられます。
また、組織のフラット化もおこなわれ、中間管理職が少なくなった結果、1部署あたりの部下の数も増え、管理が難しくなってきていることも挙げられます。
研究によると、1人の管理職が管理できる部下の人数は5~7人と言われており、これをスパンオブコントロールと言います。
しかし、現在では組織がフラット化したことにより、突然管理職に昇進させられる突然化が起こり、経験を積んでいない従業員が抜擢されることが起きています。
しかも彼らのほとんどはプレーイングマネージャーでもあり、自分の仕事をしながら部下育成もおこなわなければならない立場です。
マネジメント経験を積んでこなかった従業員がある日突然管理職に抜擢されてうまくいくほど部下育成はあまくありません。
近年、働き方や価値観が多様化し、外国人労働者や年上部下をマネジメントしていかなければならない社会において意図的に部下育成を効果的におこなっていくことが今後さらに求められるでしょう。