熱中症予防対策としてWBGT値を測定する
6月に入りこれから本格的な暑さが到来してきます。
熱中症予防対策には、労働安全衛生の3管理(作業管理・作業環境管理・健康管理)、労働衛生教育、労働安全衛生体制の確立が重要であることは言うまでもありません。
熱中症の初期症状を早期に把握し、重篤化や死亡に至ることがないよう、事業主は WBGT値を把握してそれに応じた適切な対策を講じ、緊急時の対応体制の整備を図るなど、重点的実施対策の徹底が求められます。
今回は、「熱中症予防対策としてWBGT値を計測しよう」についてご紹介いたします。
WBGT値とは何か
WBGT値とは、「Wet Bulb Globe Temperature」の略で、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数です。
分かりやすくご説明すると「暑さ指数」のことを指します。
WBGT値は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカ・サウスカロライナ州パリスアイランドの海兵隊新兵訓練所で、熱中症のリスクを事前に判断するために開発されたことが由来です。
気温と同じく摂氏度(℃)で表示されますが、気温値とは異なります。
WBGT値は、人体の熱収支に与える影響の大きい湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、 ③気温の3つの指標を取り入れています。
WBGTの計算式
WBGTの計算式は、屋外と屋内で計算式に違いがありますが、上の図のとおり値が算出されます。
乾球温度は、通常の温度計を用いてそのまま気温を観測します。
黒球温度は、黒色に塗装された薄い銅板の球の中心に温度計を入れて観測します。
直射日光にさらされた状態での球の中の平衡温度を観測しており、弱風時に日なたにおける体感温度と良い相関があります。
湿球温度は、水で湿らせたガーゼを温度計の球部に巻いて観測します。
温度計の表面にある水分が蒸発した時の冷却熱と平衡した時の温度で、空気が乾いたときほど気温(乾球温度)との差が大きくなり、皮膚の汗が蒸発する時に感じる涼しさ度合いを表します。
湿度が7割を占めている理由は、湿度の高いところでは汗が蒸発しにくくなり、身体から空気へ熱を放射する能力が減少してしまうからです。
WBGT値が28℃を超えると要注意
上の図からの分かるようにWBGT値が28℃を超えるときに熱中症にかかるひとが多発していることが明らかにされています。
WBGT値が28℃を超えるときときは要注意です。
ですので、WBGT値を測る癖を日頃からつけていくことが熱中症予防対策として重要です。
WBGT値を計測するには
WBGT値を計測するには、熱中症指標計や熱中症チェッカー、熱中症指数モニターなどで計測していきます。
今回は、もっと手軽に計測できる方法として環境省より公表されている「熱中症予防サイト」をご紹介します。
上の図は「熱中症予防サイト」の画面になりますが、みなさんの事業場の地域を選択して進めていくと本日のWBGT値を時間単位で把握することができます。
週間天気予報と同じく、数日のWBGT値を把握することもできますのでおすすめです。
WBGT基準値を超え、または超えるおそれのある場合にはWBGT 値の低減をはじめとした対策が必要になります。
厚生労働省では、WBGT値の低減等、休憩場所の整備等、作業時間の短縮等、熱への順化、水分及び塩分の摂取、健康診断結果に基づく対応等、日常の健康管理等、労働者の健康状態の確認を徹底するよう、指針に示しています。
今回は「熱中症予防対策としてWBGT値を測定する」についてご紹介しました。
WBGT値について意識を高く持つことは、自分の身体を熱中症から守る第一歩にもなります。
ぜひ意識していきましょう。