職場で問題になりやすいハラスメントの種類と内容について徹底解説
ハラスメント問題は、価値観の違いや些細な行為の蓄積、何らかのきっかけにより生じます。
わたしたちにとってこれらの問題は他人事ではなく、いつでもハラスメントの行為者にも被害者にもなりえます。
ハラスメント行為者、被害者にならないためにも正しい知識を習得していきましょう。
Contents
- 1 ハラスメントとは
- 2 代表的なハラスメントの種類と解説
- 3
その他ハラスメントの種類と解説
- 3.1 モラルハラスメント
- 3.2 ジェンダーハラスメント
- 3.3 エイジハラスメント
- 3.4 リストラハラスメント
- 3.5 時短ハラスメント
- 3.6 セカンドハラスメント
- 3.7 カスタマーハラスメント
- 3.8 就活終われハラスメント
- 3.9 アカデミックハラスメント
- 3.10 キャンパスハラスメント
- 3.11 スクールハラスメント
- 3.12 エアコンハラスメント
- 3.13 スメルハラスメント
- 3.14 スモークハラスメント
- 3.15 お菓子ハラスメント
- 3.16 アルコールハラスメント
- 3.17 カラオケハラスメント
- 3.18 ソーシャルハラスメント
- 3.19 テクノロジーハラスメント
- 3.20 ブラッドハラスメント
- 3.21 ラブハラスメント
- 3.22 マリッジハラスメント
- 3.23 ゼクシャルハラスメント
- 3.24 ドクターハラスメント
- 3.25 ハラスメントハラスメント
ハラスメントとは
ハラスメントとは、英語では「悩ませる」「苦しめる」と訳され、一般的に使われています。
セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントは社会的問題にもなり、男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)、育児介休業法等で法整備もおこなわれ、各企業においてハラスメントの取り組みを実施していることは周知のことでしょう。
これらの3つ以外にも最近では〇〇ハラという造語の言葉が使われ出し、その種類は70を超えるとも言われています。
では代表的なハラスメントについて以下でみてきましょう。
代表的なハラスメントの種類と解説
パワーハラスメント
職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものです。
パワーハラスメントの代表的な言動の類型には、身体的な攻撃、精神的な攻撃、、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害があります。
セクシャルハラスメント
職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることです。
セクシャルハラスメントの代表的な行為の類型には、対価型セクシャルハラスメントと環境型セクシャルハラスメントがあります。
妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント
職場において行われる、上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されることです。
妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントにはマタニティハラスメント、パタニティハラスメント、ケアハラスメントが含まれた総称です。
妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの代表的な行為の類型には、制度等の利用への嫌がらせ型と状態の利用への嫌がらせ型があります。
その他ハラスメントの種類と解説
モラルハラスメント
肉体的苦痛ではなく、言葉や態度等によって精神的に継続的な嫌がらせを行うことです。
職場全体で無視したり、個人の尊厳を貶めたり、見えない暴力で被害者の精神にダメージを与えます。
嫌がらせ行為が外部の人からは見えない、嫌がらせの隠ぺいが行われることが特徴です。
ジェンダーハラスメント
性別で職務を不平等にわけたり、不当な評価を下す嫌がらせを行うことです。
あくまで男性、女性という性別に基づき、他方を排除したり優遇したりすることを指し、性別役割分担意識から起こります。
エイジハラスメント
年齢に対する嫌がらせを行うことです。
中高年で役職の地位に就かない従業員に対して「もう〇歳なのに平社員なんだ」と嫌みを言う、未婚の女性従業員に対して「そろそろ結婚して落ち着いたらどう?」、「このままだと子どもが産める適齢期が過ぎちゃうよ」、「もう歳なんだから無理しないでください」など相手を不快にする言葉を放つなどが該当します。
リストラハラスメント
リストラの対象者に対して会社側が嫌がらせを行い、従業員を自主退職に追い込む嫌がらせを行うことです。
本人が望まない部署や窓際部署への急な人事異動、全く仕事を与えない、無理難題な仕事を与えて意図的に失敗させるなど会社に居づらくなるような状況をつくりリストラへと追い込むことが該当します。
時短ハラスメント
労働時間を無理に減らすように言っておきながら、業務量の改善や労働時間を減らすための具体的な施策を取らず、これまで通りの業績や結果を求める嫌がらせを行うことです。
仕事量は変わらないのに「残業せずに早く帰れ」と言われ、就業後自宅やカフェで残業代の出ない残業をすることなどが該当します。
セカンドハラスメント
ハラスメントを受けた被害者がそれを訴えることで、さらに会社から圧力をかけられる嫌がらせを行うことです。
「それは君の考えすぎではないか」、「被害妄想じゃないのか」、「本当は君が誘ったんじゃないの」、「それが事実か疑わしい」、「それくらいは当たり前にあることなんだから我慢しなさい」など被害に遭っているのにかばってもらうどころか更なるいやがらせを受けることが該当します。
カスタマーハラスメント
カスタマー、つまり客の悪質行為の嫌がらせを行うことです。
クレーマーハラスメントともいいます。
保証期間が過ぎているのに「無料で修理しろ!」と言ったり、些細なことに難癖をつけ「土下座しろ!」、「責任者を出せ」、「今から自宅に来い!」と言ったりなどが該当します。
就活終われハラスメント
就職活動中の学生に対して、内定と引き換えに就職活動を終わるように迫る嫌がらせを行うことです。
「うちで内定をあげるから、もう他の会社では受けないでね!」、「うち以外の会社では君なんて採用されないよ」などと就職活動をしている学生の気持ちを不安にさせて心に漬け込んだハラスメントです。
アカデミックハラスメント
大学教授がその立場を利用して学生に対して行う嫌がらせを行うことです。
正当な理由なく実験装置等の使用を禁止される、学生が行った研究を掲載した論文にその学生の名前を載せないなどが該当します。
キャンパスハラスメント
各種ハラスメントが大学構内で行う嫌がらせを行うことです。
セクシャルハラスメント、アカデミックハラスメント、パワーハラスメント、その他のハラスメントを総合してキャンパスハラスメントといいます。
スクールハラスメント
学校で教師が児童生徒に対して行う性的嫌がらせを行うことです。
恋人はいるのか尋ねる、立場を利用して根拠なく異性との交際を禁止したりする、児童生徒を下着姿や裸にさせたり身体を触るなどが該当します。
エアコンハラスメント
猛暑日にエアコンの使用を禁止したり、寒がっている人がいるのにも関わらず無視して設定温度を下げたりする嫌がらせを行うことです。
例えば、猛暑日にエアコンの使用を禁止する、寒がっている人がいるのにも関わらずわざと設定温度を下げたりすることなどが該当します。
スメルハラスメント
体臭や口臭、強すぎる香水や柔軟剤などのにおいによって周囲を不快な思いにさせる嫌がらせを行うことです。
夏場の汗などの体臭や、タバコのにおい、口臭、強い香水のにおい、柔軟剤の強いにおいなどが該当します。
スモークハラスメント
タバコを吸わない人に対して無理に喫煙させたり、隣でタバコを吸って受動喫煙(喫煙者が吐いた煙などを吸ってしまうこと)させたりする嫌がらせを行うことです。
タバコの煙は健康に悪いですし、服や髪に臭いがついてしまったりで非喫煙者にとってはとても迷惑なものです。
お菓子ハラスメント
お土産のお菓子を特定の人だけ配らない、買ってきたお菓子を強制的に食べさせるなど食べなければならない雰囲気を出す嫌がらせを行うことです。
スイーツハラスメントとも言われています。
アルコールハラスメント
飲酒に関する嫌がらせを行うことです。
上下関係を利用した本人の意向を無視した飲酒の勧め、イッキ飲みを強要する、罰ゲームの行為、宴会にソフトドリンクを用意しないことなどが該当します。
カラオケハラスメント
職場などの立場を利用して、カラオケで歌いたくない人に無理矢理歌わせる嫌がらせを行うことです。
「お前ノリが悪すぎ、なんか歌えよ!」、「今から〇〇さんが歌いまーす!」などと強要することが該当します。
ソーシャルハラスメント
TwitterやFacebookなどのSNSにおいて、職場などの上下関係を持ち込んで嫌がらせを行うことです。
職場の上司が部下に「いいね」ボタンを強要する、友達リクエストの承認を強要する、部下の投稿を随時チェックして「いいね」を押すなどが該当します。
テクノロジーハラスメント
パソコンやスマホ、アイフォンなどテクノロジーに詳しい人が、それらを苦手とする人にする嫌がらせを行うことです。
「こんな簡単なことも分からないのですか?」とパソコンのスキル不足などを馬鹿にしたり、わざと難しい専門用語を使って教えたりするなどが該当します。
ブラッドハラスメント
血液型が与える印象で、その人の人柄や性格を決めつける嫌がらせを行うことです。
「A型だから合わない」、「AB型だから変わっているんだね」、「O型は適当だよね」、「B型はおしゃべりだよね」などと血液型で決めつけ、相手を不快にさせてしまうことが該当します。
ラブハラスメント
恋愛に関する話題で相手に精神的苦痛や不快な思いを与える嫌がらせを行うことです。
「彼氏(彼女)はいないの?」、「恋人を作る努力をしなきゃ」、「結婚相手を探す努力をしないとだめだよ」「良い人いないそうだから探そうか?」など恋愛や結婚に関する考え方を押し付けることでプレッシャーを与える言動が該当します。
マリッジハラスメント
未婚の人に対して「結婚しないの?」、「良い人紹介しようか?」、「そんなのだからいつまでたっても結婚できないんだよ」などと、結婚しない理由を聞いたり、独身でいることを責めたりする嫌がらせを行うことです。
ゼクシャルハラスメント
交際している男女のうち、女性が男性に対して結婚を迫ることで心理的負担を与える嫌がらせを行うことです。
「ゼクシャル」は結婚雑誌「ゼクシィ」を部屋において結婚したいことをアピールをすることが由来です。
「親が心配しているから」、「結婚いつする?」などと相手にプレッシャーをかけます。
ドクターハラスメント
医者が立場を利用して、患者に嫌がらせを行うことです。
「すぐに治療しないと治らない」と高額な治療費を請求する、「信用できないなら他へ行け」と脅したりすることなどが該当します。
ハラスメントハラスメント
自分が少しでも不快になると「それハラスメントです」と過剰に主張する嫌がらせを行うことです。
部下を注意すると「それパワハラですよね、パワハラで訴えます!」と言われてしまう、服装を注意したら「わたしの容姿を舐めるようにみていていやらしい」と相談窓口に相談されたなどが該当します。
いかがでしたでしょうか。
職場で問題になる代表的なハラスメントで法整備もおこなわれているものは、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントです。
しかし最近では、おもしろおかしく何でもかんでもハラスメントと結びつけて考えるような社会でもあり、このようにいろいろ派生して造語が作られていることも事実です。
ハラスメントは行為者にもなり、被害者にもなります。
わたしたちにできることは日頃からハラスメントについて高い意識を持ち、お互いを尊重していける関係性を築くことです。
快適な職場環境をつくるためにもハラスメントについて正しい知識を持ちこうどうしていきましょう。